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日本の宇宙開発

きぼう

長期間宇宙に滞在する人体には重力が必要です。宇宙での生活空間に、回転で発生する遠心力を人工重力として使って、快適な宇宙ライフを楽しむのは、もう少し先のことになりそうです。

 

現在、地上約400キロメートル上空に建設された国際宇宙ステーション(ISS)に人工重力はありません。どちらかというと、無重力状態を積極的に利用した様々な実験が行われています。

 

日本は日本実験棟「きぼう」を開発しISSに接続、米国・ロシア・欧州・カナダなど15か国と協力して、地上では困難な様々な実験を行っています。

 

はやぶさ

東日本大震災時の日本にとって大困難な時期に、精神的に希望を与えてくれたのが「なでしこジャパン」のワールドカップ優勝と、いくつものトラブルを乗り越えて地球にサンプルリターンを果たした小惑星探査機「はやぶさ」初号機です。

 

インターネット動画のYouTubeには、はやぶさの関連動画がいくつもアップされました。特に地球の大気圏に再突入する前に撮影した地球の画像と、再突入の際、小惑星いとかわで採取したサンプルを持ち帰るカプセルに寄り添うように燃え尽きていった姿には、感動しました。はやぶさで映画が同時期に3本も撮影、上映されたのは、日本中が感動した証拠だと思います。

 

2号機が小惑星「りゅうぐう」に到着しミッションを遂行しつつあります。任務に支障をきたすトラブルがほとんどないとのことです。これは「はやぶさ」初号機の教訓が十二分に活かされているからでしょう。

 

こうのとり

(こうのとりの写真:JAXAのホームページ)

国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」と小惑星探査機「はやぶさ」の話題に隠れて、あまり目立たない存在の「こうのとり」ですが、非常に重要な任務についています。

 

こうのとりは、日本のH-IIBロケットにより打ち上げられる日本の無人の宇宙船で、ISSで必要な、食糧や衣類、各種実験装置など最大6トンの補給物資を送り届ける任務を負っています。すでに7号機が任務についており、ISSにおける宇宙飛行士の活動を支え続けています。

 

「こうのとり」を開発・運用する際に、日本は無人ランデブ飛行技術を独自に開発しました。それは、無人宇宙船が直接にISSにドッキングするのではなく、ある程度近づいた「こうにとり」をISSに搭乗している宇宙飛行士が操作するロボットアームによってキャッチしドッキングさせるという方式です。これは、ドッキングする際の無人宇宙船とISSとが衝突する危険性を極限まで抑えることができるのです。この方式は、ISSへの接近方式として米国の民間輸送宇宙船に採用されるほど高い信頼性を有しているのです。

 

 

付録1 
JAXA((宇宙航空研究開発機構)のホームページを覗くと、「きぼう」「はやぶさ2」「こうのとり」以外にもたくさんの人工衛星、探査機、そしてそれを宇宙に運搬するためのロケットが運用されていたり、将来のために開発されていたりするのが一目でわかります。(以下JAXAのホームページから抜粋)

 

1 人工衛星・探査機

① 地球観測衛星。
・運用中。
 気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)、
 超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS)、
 陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)、
 全球降水観測計画/二周波降水レーダ「GPM/DPR」、
 水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W)、
 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)、
 温室効果ガス観測技術衛星2号「いぶき2号」(GOSAT-2)。
・開発中。
 雲エアロゾル放射ミッション「EarthCARE」、
 先進光学衛星(ALOS-3)、
 先進レーダ衛星(ALOS-4)、
・運用終了。
 熱帯降雨観測衛星「TRMM」、
 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)、
 地球観測衛星「Aqua」/改良型高性能マイクロ波放射計(AMSR-E)。

 

② 通信・測位・技術試験衛星。
・運用中。
 超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)、
 小型実証衛星4型「SDS-4」、
 測地実験衛星「あじさい」(EGS)、
 革新的衛星技術実証1号機。
・開発中。
 技術試験衛星9号機。
・運用終了。
 データ中継技術衛星「こだま」(DRTS)、
 技術試験衛星VIII型「きく8号」(ETS-VIII)、
 光衛星間通信実験衛星「きらり」(OICETS)、

 

③ 天文観測衛星。
・運用中。
 太陽観測衛星「ひので」(SOLAR-B)、
 惑星分光観測衛星「ひさき」(SPRINT-A)、
 ジオスペース探査衛星「あらせ」(ERG)、
 小型高機能科学衛星「れいめい」(INDEX)、
 磁気圏尾部観測衛星「GEOTAIL」。
・運用終了。
 磁気圏観測衛星「あけぼの」(EXOS-D)、
 赤外線天文衛星「あかり」(ASTRO-F)、
 X線天文衛星「すざく」(ASTRO-EII)、
 X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)。

 

④ 月・惑星探査機。
・運用中。
 小惑星探査機「はやぶさ2」、
 国際水星探査計画「BepiColombo」/水星磁気圏探査機「みお」(MMO)、
 金星探査機「あかつき」(PLANET-C)、
 小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」。
・開発中。
 小型月着陸実証機 SLIM。
・将来計画。
 火星衛星探査計画(MMX)。
・運用終了。
 小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)、
 月周回衛星「かぐや」(SELENE)。

 

2 宇宙環境の利用。
・宇宙環境を利用した研究、
・日本実験棟「きぼう」/国際宇宙ステーション(ISS)、
・宇宙飛行士。

 

3 地上と宇宙を結ぶ輸送システム。

①運用中。
・イプシロンロケット、
・H-IIBロケット、
・H-IIAロケット、
・宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)、
・S-310/S-520/SS-520(観測ロケット)。

 

②開発中。
・H3ロケット。

 

付録2:

日本のロケット開発の草創期を知るための貴重な動画があります。

国産ロケット開発史

 

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