新幹線の中に、鍵のかかる自分だけの部屋ができました。その鍵は、電車に乗るときに使うICカードです。
こう聞くと、驚きませんか。日本の新幹線は、ついに「部屋」まで走らせるようになりました。
この記事では、その新しい個室の話をします。
新幹線は、日本の高速列車です。今回の個室は、東京から博多までの「東海道・山陽新幹線」を走ります。
名前は「Supreme Class(スプリームクラス)」です。Supremeは「最高の」という意味です。JR東海という鉄道会社が、10月1日に始めました。
新幹線の個室は、じつは昔もありました。100系という2階建ての車両に、グリーン個室がありました。
「グリーン車」は、普通の席より上の、料金が高い席のことです。その個室は、2003年になくなりました。今回は約23年ぶりの復活です。
Supreme Classには、2つのタイプがあります。
「年度」は、日本で4月から次の年の3月までをひとまとめにした言い方です。
Cabinは、1本の列車に2部屋しかありません。
7号車と10号車に1部屋ずつです。「号車」は、列車の車両の番号のことです。
7号車の部屋は、グリーン車の約3席分の広さです。最大2人まで使えます。
10号車の部屋は、約2席分の広さで、1人専用です。Seatは、10号車に6席だけ作られる予定です。
ドアは電子ロックです。交通系ICカードかQRコードで開けます。
椅子は、最大130度まで倒せます。部屋のタブレットでは、照明や空調、音量を変えられます。
照明には「おやすみ」「リラックス」「ノーマル」「ビジネス」の4つのモードがあります。
荷物を置く場所は、55×40×25cmです。
ふつうの新幹線では、3辺の合計が160〜240cmの大きな荷物は、事前の予約が必要です。これを「特大荷物」といいます。
Cabinでは、予約なしで持ち込めます。旅行者にはうれしい点です。
Wi-Fiは、鉄道車両として世界で初めて、5Gに対応した透明なガラスのアンテナを使います。
ヘッドレストのスピーカーは、音が外にもれにくい作りです。公共交通機関では、日本で初めてのNTTの技術です。
10月1日に乗った記者は、ドアを閉めると騒音がやわらぎ、声を張る必要がないほどだったと書いています。これは記者の感想です。
乗ると、飲み物とお菓子がもらえます。報道公開では、京都・宇治の「竹バウム」が出ました。老舗のお店が作る、抹茶のバームクーヘンです。
「モバイルオーダー」もあります。スマートフォンなどで注文して、車内で受け取る仕組みです。個室だけの飲み物やおつまみがあり、日本酒やお茶、スムージー、ほたて貝柱が例に挙がっています。
困ったときは、タブレットのボタンで乗務員を呼べます。ただし、パーサーが乗らない一部の列車では、使えないことがあります。「パーサー」は、車内サービスの担当の乗務員です。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=ip6Tx3L1yeQ
海外の列車は、どうでしょうか。ドイツ、スイス、フランスなど、ヨーロッパの多くの国では、高速列車は1等と2等から選びます。1等は、席が少し広くて静かな程度です。
もちろん、海外にも個室はあります。イタリアのFrecciarossa Businessには、4席の個室「Salottino」があります。同じイタリアの「Executive」は、1本の列車に8〜10席しかなく、専用の乗務員がつきます。
ただし、これは個室ではなく、座席のタイプです。あるレビューには、広いけれど防音はなく、あまりプライベートではないと書かれています。
アメリカのAcela Expressの1等には、2人用や4人用の会議テーブルがあります。ある2013年の記事の話で、今の仕様はわかりません。これは個室ではなく、同じ車内の共有の設備です。
日本のCabinは、ドアを閉めて完全に自分たちだけの空間になります。この点が大きな違いです。数が少ないのは、イタリアと似ています。日本では、完全個室が2室、半個室が6席です。
料金も見てみましょう。東京から新大阪まで、のぞみのグリーン車は19,590円です。10号車のCabinは42,100円からで、約2.1倍です。「のぞみ」は、新幹線の列車の種類のひとつで、同じのぞみの列車に連結されて走ります。
イタリアのExecutiveは、ある2017年のレビューで、ローマ〜フィレンツェ〜ミラノの各区間で1枚約112ドルでした。食事も込みの運賃です。条件が違うので、単純には比べられません。
7号車は、2人で使えます。ただし、個室の料金は1人分の表示です。もう1人の分は、別に乗車券と特急券が必要です。
JR東海の担当の人は、理由をこう説明しています。生活の仕方や働き方が変わったからです。プライベートな空間がほしい人がいます。周りを気にせずオンライン会議をしたい人もいます。ゆっくり休みたい人もいます。
たとえば、カフェや電車の中で、大事な電話がかかってきたとします。周りが気になって、話しにくいですよね。そんな場面で使える部屋です。
JR東海は、これまでも仕事向けの車両を作ってきました。「S Work車両」は、ビデオ会議などで声を出せる車両です。7号車は、もともとこのS Work車両でした。
Cabinは、7号車と10号車の、もとからあったスペースに作られました。浜松工場の人たちは、Supreme Classをその集大成だと言っています。
担当の人は、特定のお客さんを決めず、いろいろな場面で使ってほしいと話しています。
一方、社長は、経営者など、需要のある人たちがいるという見方を示しています。
買い方は、ちょっと特別です。買えるのは「エクスプレス予約」と「スマートEX」だけです。どちらも、新幹線のネット予約とチケットレス乗車の仕組みです。
「チケットレス」は、紙のきっぷを使わず、ICカードやQRコードで乗る方法です。駅の窓口や券売機では買えません。
発売は、乗車日の1か月前の朝10時からです。この朝10時の発売を、日本では「10時打ち」と呼びます。人気の列車は、予約の競争になるからです。
数はこれから増えます。Cabinは2026年度末に15編成、2028年度までに38編成になる予定です。「編成」は、1本の列車のことです。
最後に、お金の話です。
10月16日に、JR東海とJR西日本が値上げを発表しました。
2027年7月1日の購入分から、東京〜新大阪の指定席は700円上がり、15,420円になります。
グリーン車は、2027年12月15日の乗車分から3,700円上がり、23,290円になります。
理由は、インフレで、安全やサービスにかかるお金が上がっているからです。
あなたの国の列車には、個室がありますか。もし新幹線で1部屋だけ選べるなら、あなたは誰と、何をして過ごしたいですか。
参考
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