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ファウスト

悪魔と契約を交わし永遠の命を得たファウスト博士の伝説とか言い伝えをゲーテがリメイクすると文学作品になります。
本文を何度か読みましたが、場面の繋がりが分かりません。脚注を読んでもわかりません。解説を読んで初めて分かります。分からない本を何度も読むのは変です。誰の助けも借りずに理解したいと思う変な意気込みだけで読んでいた?

 

「時よ止まれ。お前は美しい。」とファウストが叫んで息絶える場面は、ファウストを読む前から知っていました。それは、1972年のミュンヘンオリンピックの記録映画の題名「『時よとまれ、君は美しい/ミュンヘンの17日』からの情報を知ったかぶりのように覚えていたからかもしれません。

 

さてファウストは伝説の通り悪魔と契約を交わします。
ファウスト「わしがいつかのんびりとして安楽椅子に寝たら、わしはたちどころにおしまいになるがいい!
甘いことばでいつかわしをたぶらかし、いい気にならせたら、わしを享楽で欺くことができたら、それはわしの最後の日だ!
賭けをしよう!」
メフィスト「心得た!」
ファウスト「手を打とう!
わしが瞬間に向かって、とどまれ、お前は実に美しい!と言ったら、
君はわしを縛り上げてよい。
その時はわしは喜んで滅びよう!」

 

ファウストは「知識は万能だと思い絶望し(メフィストに出会った時の状態、学問を究めたと思っていた)、感情が全てだと言って絶望し(メフィストとの契約後若返ったファウストとグレーチヒェンとの恋愛は悲劇に終わり)、美こそ生きがいだと信じて絶望し(ギリシャ神話の美の女神ヘレナとの幸せな結婚生活は突然に終焉)、今度は事業こそすべてだ、享楽は人間を非俗にすると断言して、干拓事業により広大な土地を開発した」のでした。

 

盲目になった老ファウストの死が近いことを知ったメフィストがファウストの墓を掘らせていましたが、そのショベルの音を聞いてファウストは数百万の人々のために自由に活動する土地を作る音と聞こえ、自由の土地に自由の民と共に立つ幸福に陶然となって「瞬間に向かって、止まれ、お前は実に美しい、と言ってもよいだろう」と言ったのでありました。

 

これは、一見メフィストが賭けに勝ったようにみえますが、契約では「怠惰な末の『時よ止まれ』」という前提なので、「精進努力の末の感極まった『時よ止まれ』」では契約は成立しない、としてファウストの魂は悪魔(メフィスト)の手をすり抜けて天使により天上にあげられるのです。

 

メフィストは「してやられた」と悔しがります。

 

これは解説を読んで初めて理解したのです。

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