帯に書かれていた「この考えのどこが問題なのか?『それって個人の考えですよね』」に惹かれて買ってしまった。
他にも「数字で示してもらえますか」「エビデンスはあるんですか」「その考えは客観的なものですか」。これらの言葉は相手を黙らせる最強の言葉なのですが、その中でも最も破壊力があるのが「それって個人の考えですよね」なのだ。
けれど、この世の中に「数字」はなく、「エビデンス」もなく、まして「客観的」なものなど、無いのです。すべて「個人の考え」に基づいて集めた具体的な事象を「個人の考え」に沿って「数値化」していったものです。「考え方」が異なれば集める具体的事象も違ってきますし、数値化する閾値も異なってきます。一見「数字」は客観性の塊に見えますが、その数字に至る過程で個人の考えが色濃く反映しているのです。
ですが、我々は4つの言葉には抗(あらが)い難い。それは、自分自身が相手に対して優位に立とうとするときに魔力を発揮する言葉だからです。
とにかく、この言葉の呪縛に対抗できる手段を提供しているのが本書であると思い込んで買ってしまったのでした。確かに対抗する手段は示されてはいましたが、それは4つの言葉と同じ土俵上での対抗手段ではなかったのです。
「それって個人の考えですよね」をぎゃふんと言わせる強烈な言葉が提供されることを期待していましたが、それはなかった。客観性を生み出すと信じられている「大数」と「統計」と「平均」の斜め上をいく「具体的事象をひとつひとつ拾い上げること」だったのです。
これは、「最大多数の最大幸福」と「少数意見の尊重」の関係にあるように、互いに補完し合うことで完成度の高い世界を目指せるような関係に似ていると言える、と思うのです。
いい意味で?期待を裏切った本なのか?
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