プログラムアラーム１２０２

アポロ11号の月着陸船内ではプログラムアラーム1202が鳴り響いていました。月面への動力降下を続けていた最中の警告音に、「すわ月着陸は中止か？」とヒューストンの管制室の全員が固唾を飲んだ数十秒間。「問題なし」というバックルームの支援チームから回答を得て、管制官は「月面着陸を続行せよ」と月着陸船のアームストロング船長に伝えました。

この後、無事に月着陸は成功します。

この一連の状況には以下のような矛盾した事実と、それを補う推測がありました。
（参照URL：https://arisasuper.com/?p=957）

１　このプログラムアラームについては、船長のアームストロングも月着陸船操縦士のオルドリンも、訓練でも経験したことがなく、その意味するところが全く分からない、という状況にあったということ。

２　一方、「アポロ管制センターの英雄たち」の映像では、地上でのシミュレータ訓練においてプログラムアラーム「1201」「1202」が作動したが、誰もその意味するところが理解できなかったために訓練を中止したということ。そして、この訓練の反省会で、訓練中止に至った条件が満たされていたのか、ということが問題となり、訓練中止を決断した首席管制官のジーン・クランツが返答できなかったということ。

３　アームストロング船長の伝記「ファーストマン」には、アポロ11号発射の数日前に、アポロ12号のバックアップクルーによる月着陸シミュレーションを行ったこと。これは、月着陸時にミッションコントロールにつく管制官たちを訓練するためのシミュレーションで、このとき上司の指示でプログラムアラーム1201が発動されたこと。

４　上記１～３の間の矛盾を補うために「数日前の訓練に参加したジーン・クランツや管制官たちは、アームストロング船長の「プログラムアラーム1202」の言葉をきいたとき、「あれだ」と気がついても、詳細な処法については知らなかった。バックヤードにいるソフトウェアチームのみが了解し、そして即座に対処した。というのが一番真実に近いのでは」と推測した。

この推測が正しいことが証明されたので報告します。
「Digital Apollo」の第3ページ目に証拠となる文章がありました。

赤色の下線部分の和訳は

「ヒューストンでは、管制官たちが問題を解析していた。若いエンジニアたちは最近のシミュレーションで見たトラブルと類似していることに気づき、バックルームの支援チームと協議した。そしてすぐに原因を特定した。コンピューターは過負荷状態で再起動を繰り返していたが、シャットダウンはしていなかった。コンピューターは低優先度のタスクを無視していたが、それらはミッションにとって致命的ではなかった。「そのアラームは問題なし。着陸を続行せよ。」と地上管制官が応答した。これにより、月着陸船は計画通り降下を続けることができた。」