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永遠の終わり

衝撃的な題名です。永遠が終わる? 矛盾した表現で強烈な興味をそそります。時間をテーマにしたアイザック・アシモフのSF小説です。

 

アシモフはアメリカのSF作家です。ロボットと宇宙に関わるSFを数多く書いています。ロボット三原則という有名な規範をSFの中に登場させました。その後、多くの作家が書いたSFに登場するロボットたちはこの三原則に則り行動しています。アシモフの代表的な作品にはロボットものとして「われはロボット」「鋼鉄都市」、宇宙ものとして「銀河帝国の興亡」「宇宙の小石」などがあります。
アシモフの作品の中で時間をテーマにしたものは非常にユニークで「永遠の終わり」以外には思い当たりません。

 

人類は核分裂を発見する以前に、時間の流れから隔絶した環境を人工的に作り出す技術を発見した、というのがこのSFの前提です。この隔絶した人工環境の中に時間を管理する組織が作られました。この組織の名が「エタニティ」つまり「永遠」です。
この人工環境を作り出すエネルギー源に核エネルギーは使われていません。時間を自由に操作する技術により、遠い未来の赤色巨星化した太陽からエネルギーを得ているのです。

 

「エタニティ」は「過去」と「未来」を管理しています。人類にとって「良くない」と判断されたことは、綿密に設計された時間操作により取り除かれます。そのような操作が「エタニティ」創設以来「何世紀」にもわたって行われていました。エタニティは一般の時間の流れの中に住んでいる人々には知られていません。秘密結社であり、一方的に時間干渉を与えられるエリート集団なのです。

 

その集団に対して、未来から干渉が起こりました。時間管理をしているといっても、まだ未知の領域が遠い未来には広がています。エタニティの存亡の危機です。そこから、ミステリーの謎解きが始まりました。
その捜査の中で、エタニティ創設の秘密が明らかになりました。それは時間の円環が閉じているのです。
それが未来に影響を及ぼしている。その影響を排除するために干渉が起こったのでした。

 

最終的にエタニティは終焉を迎えます。それは原子力の時代を始めるためでした。原子力は人類滅亡の危機も招きますが、恒星間航行システムのエネルギー源にもなります。こうして銀河帝国の世界と繋がっていくのでした。それが未来人の時間観察システムで算出された最大確率で現出されなければならなかった本来の世界であり、エタニティの操作で消されていた世界だったのです。

 

エタニティが消えれば、この未来人も消えざるを得ません。しかし銀河に進出した世界こそが人類の進むべき世界だというのです。エタニティが操作した世界はどんなにうまく操作してもやがてその意図した影響が消えていくというのです。無限操作を施さないと保てない世界とは異常ではないのか?

 

未来人は言います。「あなた方は「無限」に時間に干渉します。その結果、あなた方が異常と判断すれば排除する閉じた世界が「ひとつ」あるだけなのです。でも、私たちが干渉するのはたった「一度」だけです。それで、人類は「無限」の世界を星々に広げることができるのです。」

 

永遠(エタニティ)が終わり、無限(インフィニティ)が始まった。韻も踏んでるし、メデタシ、メデタシ。

 

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